川棚に残る不思議な小正月行事のはじまり

「盗む餅」と書いて「盗餅(とへ)」。「トヘトヘ〜!」という独特な掛け声が特徴の、山口県下関市豊浦町川棚の北村地区で行われる小正月行事です。

昨年10月、下関市内で開催された「下関ローカルコンテンツツアー」で、この盗餅の運営を担う高崎剛さんと出会いました。そこで教えてもらった行事の内容は、どこか不思議で、しかし妙に心に残るものでした。

「僕らはワラで馬を作り、それを家々へ持っていきます。馬の代わりに僕らに幸せをくださいよ、という形で、家の方がお餅やお祝いを包んで渡してくれるんです。お餅やお祝いは持って帰っていい。でも、その幸せは持って逃げんなよ、という意味で水をかける行事なんです。」

ワラで馬を作り、幸せが逃げないように思い切り水をかける。説明を聞いてもすぐに理解しきれないのに、なぜか強く惹かれる。その感覚に背中を押されるように、一度この目で盗餅を見てみたいと思いました。今年の開催は1月11日。高まる気持ちを押さえながら、前日に新幹線に飛び乗り、大阪から下関へ向かいました。