自然と歴史が重なる川棚という場所
川棚の北村地区がある下関市豊浦町は、山口県の西部に位置します。西は響灘、北は狗留孫山(くるそんざん)、東は鬼ヶ城山(おにがじょうさん)に囲まれた、自然に恵まれた場所です。ユビナガコウモリの群生地として知られる大吼谷蝙蝠洞(おおごうやこうもりどう)や、樹齢が推定1000年以上とされるクスの大樹「クスの森」など、国指定の天然記念物も複数残されています。
また川棚は温泉地としても知られており、「川棚温泉」は関門・北九州の奥座敷として親しまれてきました。慶長15(1610)年の検地帳にもその名が登場し、800年以上の歴史を持つとされています。長府藩内で唯一の湯治場として保護されてきた背景を持ち、明治4年の廃藩置県を経て温泉が民営化されると、昭和初期には芸者置屋が立ち並び、多くの観光客で賑わいを見せるようになりました。
近年では2025年に隈研吾さんが設計した「癒やしの庭」がオープンし、足湯や手湯を気軽に楽しめる場として整備されています。長い時間の積み重ねの中で、自然と人の営みがゆるやかに重なり続けている場所。それが、川棚という土地の魅力なのかもしれません。
※1 参考:豊浦町史編纂委員会(1995)『豊浦町史 3 民俗編』豊浦町役場
※2 参考:石城和雄(1998)「川棚温泉の今昔」清水唯夫(監修)『目で見る下関・豊浦の100年』郷土出版社